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● 5月2日:水不足が病院を直撃
つい先日、断水が続く病院に水の補給を行ったばかりが、その水もすぐに底をついてしまった。依然として水復旧の目途は立っていない。
病院から帰ってきたイブラヒム先生のもとに電話が入った。病院長から再び水の補給を求める緊急の連絡である。電話があったのは午後8時。この時間に外出するのは非常に危険な行為だ。バスラはいまだに小規模な銃撃戦が各地で続いており、その多くは夜に起こる。そして朝には身元不明の遺体が路上に横たわっている。そのため人々は、日没後の外出は極力控えねばならないのだ。
しかし、イラクは明日、明後日は休日である。今晩中に補給作業を行わなければ、日曜日の医療業務に支障が出てしまう。イブラヒム先生は嫌がる業者をなんとか説得し、タンクローリー4台を率いて病院に向かった。目がよくないイブラヒム先生は、フロントガラス越しに前方を注視し、視界に何かが映るたびに、肝を冷やしたという。動くものは何でも標的にされる。病院までは命がけの道中だ。無事に病院に到着し、タンクに水を流し込んだ。供給量は前回同様32,000リットルである。
病院の医師、患者さん達はこの状況に苛立ちを募らせ始めている。
「どうして水がこない?! 政府はなにをしている!!」
病院長もこの状況を危惧し、何度もバスラ行政府に電気と水の復旧を求めかけあっているという。しかし、行政はいつも生返事ばかりで一向に動く気配がみられない。バスラ市民の怒りの矛先は政府に向かっている。大規模な衝突が沈静化し、患者さん達は困難を伴いながらも病院に来ることができるようになった。しかし断水と停電のために治療に大きな支障をきたしている。
イブラヒム:「 病院の衛生状態が悪化しています。水を補給していたのでは間に合いません。しかしこれがなければ、手を洗うことや、トイレを流すこともできません。断水のために治療が継続できず、死に至る患者さんも出てくるかもしれません。一刻も早い水の復旧が望まれます。病院の状況が改善されるまで、日本のみなさんからの支援が必要です。どうかお願いします。」
この日の電話ではいつもより疲れた声でバスラの窮状を訴えていたイブラヒム先生。さらに、この困難な状況を声高に訴えることができないのだと、弱々しく語る。
イブラヒム:「政府の軍事作戦は継続中で、バスラのいたる所で軍による監視が行われています。少しでも不審だと疑われたりしたら連行されてしまいます。市民は黙ってこの窮状に耐えるしかないのです…。」
政府の軍事作戦はマフディー軍のみならず、市民にも大きな影響を与えている。さらに、昨日起こった砂嵐の影響もあり、電気、水の復旧はさらに遅れることが懸念されている。
ズベイル地区でも電気は不通のままである。暗闇を怖がるファーティマは懐中電灯を抱きかかえて寝床についた。時折響く発砲音はバスラの人々から眠りを奪う。状況は決して改善の方向には向かっていない。
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