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● 4月29日:水がない!
昨日無事に食糧配給をやりきったイブラヒム先生。多くの患者さん達から感謝され、その喜びに浸っていたいところだったが…。
夕方にイブラヒム先生から緊急の電話がかかってきた。
「タキー、緊急だ! 今、病院には水がないんだ。そのせいで多くの支障をきたしている。一週間程前から水が病院に来なくなってしまったんだ。手術室や新生児室ではたくさんの水を必要とするのに水が使えない状態だ。トイレを流すことすらできやしない…。このまま不衛生な状態が続くと病気が蔓延する危険性がある。そこで病院長やジナン先生から生活用水の補給を支援してくれないかと頼まれたんだ。」
どうして水が来なくなっていたのか? 1か月前から続いているバスラ危機の影響だ。本来バスラには大きな発電所が6基あり、ナースリア県などの隣県にも電力を供給していた。しかし不安な情勢が続くバスラでは発電所が米軍の爆撃を受け、現在はそのうちの3基しか稼動していないのだという。電力を必要とする飲み水を精製するウォータープラントはもろにその影響を被ってしまったのである。政府は動いてくれない。
現在はバスラ全域が電気の供給不足に喘いでいる。イブラヒム先生の住むズベイル地区でも電気が来ない。そのためインターネットでの情報発信ができないし、学校の授業も短くなってしまったという。今日、娘のファーティマは学校で出された宿題をろうそくの灯のもとでやっている。
「ハーザ ハラーム! (こんなのってないわ!)」と暗闇が続く生活に、ファーティマはすっかり嫌気がさしている様子だ。
明日は朝一番にイブラヒム先生が業者と協力して、水を運ぶタンクローリーと共に病院に向かう。3台のタンクローリーで補給しても持つのは2、3日だけだという。その間に水の供給が再び始まればよいが…。

今日はこのような中、リダーの誕生パーティーが病院で行われた。彼は度々衝突が起こったハムサミール地区出身だ。今回のバスラ危機のせいでなかなか病院にくることができなかった。彼の家庭は貧しく、父親は職がなく、母親がいつも彼に連れ添って病院にやってくる。2日前に化学療法を行ったときは元気があまりなかった。しかし今日は、大勢の友達に囲まれ、目の前にはろうそくがのったケーキがある。嬉しくないはずがない。みんなでハッピーバースディーを合唱しようとしたその時!
すでにリダーの両手はケーキにめり込んでいた…。この時ばかりは、みんなこの1か月の間に起こったバスラ危機のことを忘れて、久々に腹の底から笑ったそうだ。
水が使えないことは承知の上。クリームまみれになった手は久々にバスラの子ども達に笑顔を取り戻した。(写真は以前撮影されたもの。イブラヒムから新しい写真が届けられるまでお待ちください。)
バスラはいまだに危機的状況が続いている。今日もタミーミーヤ地区では大きな衝突があった。軍の家宅捜索も終わらない。電気はこない。
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