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JIM-NETはイラクのがん・白血病の子どもたちの支援をしています。

急がれるがん診断技術の向上 

  会議の度に、ローカル・スタッフのイブラヒムが、バスラの病院で撮影したがんの子どもたちの写真を持ってきてくれる。それらの写真の中には、眼のがんが多いのが気になる。一方、腫瘍がひどく、顔や頭がひどくはれ上がった子どもたちも何人かいる。

  フセイン君(右写真 病院ではいつもガーゼで腫瘍の部分を隠していた。)は、ノンホジキンリンパ腫をわずらっていたが、2006年9月(当時6歳)病院に来たときは、かなりあごの下が腫れていた。
  抗がん剤の治療を施しても、腫瘍は、どんどん大きくなっていく。「日本なら何とかならないだろうか」2007年2月に、Dr.ジナーンから写真を見せてもらったときは、腫瘍が口の中いっぱいに広がり、首のところは皮膚が裂けている状況だった。
(左写真 2006年9月 病院に来たとき)

  そもそも、彼が病院に来た時点で手遅れだったのかもしれない。イラクの治安の悪さ、そして貧困が、子どもたちがなかなか病因に来にくい環境を作っている。
信州大学の小池教授は、「日本では、ここまでひどい腫瘍は見たことがない。ここまで抗がん剤が効かないというのは診断が間違っているのではないか?」という。私たちは、隣国ヨルダンのキング・フセインがんセンターを訪問することがあるが、たしかにヨルダンでもこのような腫瘍は見たことがなかった。
  がんの治療は、タイプによって何種類もの抗がん剤薬を合わせて使う。タイプの診断が間違っていると薬は効かない。今のイラクでは、染色体検査、表面マーカー、HLA検査ができず、診断は形態学的診断と症候学的診断のみだという。

 フセイン君は、口の中に腫瘍が広がり歯も抜け落ちているために、ものを食べることもできず、母がスプーンを使って、口から流動食を入れていた。治療に来ているがんの子どもたちはフセイン君を見ると怖がって逃げた。母親は、もう助からないと思い、また、フセインがそのように皆から気味悪がられることがつらく、病院には来なくなってしまったという。そして、フセイン君は苦しみながら死んでいった。
  院内学級の先生でもあるローカル・スタッフのイブラヒムは、フセイン君の気持ちを少しでも癒そうと思ったが、彼にもなす術はなかった。
  子どもたちは写真を撮られるのが大好きだ。イブラヒムはよく子どもたちと一緒に写真を撮って子どもたちを喜ばせている。フセイン君の写真も撮ってみたが、そんな写真を見せてもフセイン君は喜ぶはずもない。勉強を教えることもできなかった。
  たとえ助からなかったとしても、精神的にも、肉体的にも、もう少し楽にして上げられなかったのだろうか? そんな思いだけがイブラヒムには残った。

  私たちJIM-NETは、11月には、小池教授を招き、マレーシアで、イラクのドクターたちと、がんの診断方法を議論し、診断技術を支援することになるだろう。診断技術が向上すると、子どもたちの生存率が上がることが期待できる。

2007年10月23日


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