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アヤ、喜びと悲しみを携え帰郷
こちらはラマダーン(断食月)が明けて、誰もが断食明けの休みを楽しんでいる。先月(9月)の暴力発生件数はここ数年の間で最も少なかったとはいえ、突発的な自爆攻撃が数件発生しており、我々の身近なイラク人の中にも身内が被害に遭った方がいる。

ラマダーン月も終わりに近づいた9月28日バグダード、カッラーダ地区で大規模な爆弾テロによる攻撃で32人の命が失われた。事件が起こったのは夕方だが、この時間は断食が解かれる日没を待って、人やクルマが家路を急ぐため、通りが混雑する時間帯だ。ラマダーン月の夕食時の団欒は、家族だけでなく親戚や友人知人も集まり、通常の月よりずっとにぎやかで楽しいものになる。その団欒を楽しみにしていた多くの人々が犠牲になった。そして残念なことに、この爆発にアヤ(義足の女の子、骨肉腫により片足を切断した)のおばさんが巻き込まれて亡くなったのだ。アヤの父親(左)がバグダードにいる妻から訃報を聞いてこう言った。
「わかっただろう?! イラクは終わってるんだ。政府は何もできない。俺たちにあるのは恐怖と消耗だけだ。モスクが攻撃の対象になるから怯えて礼拝すらできない。仕事だってない。わかっただろう?
これがイラクの現状だ。どうしろっていうんだ?!」
つい先日、イラク政府が医師に武器の携行を許す決定を下した。イラク戦争後、多くの医師が武装勢力の標的になり殺されたり誘拐されたりしている。そのため多くの医師が、安全を求めてイラク国外に出てしまった。医師の武器携行の許可は、そういった医師を呼び戻すための政策だというのである。しかしこれは、「自分の身は自分で守れ」と言っているようなものである。暴力の発生件数自体は減少傾向にあるとはいえ、まだまだ予断は許さない状況である。
さてアヤに話を戻そう。彼女の義足の修理も無事終了した。ボロボロだった義足は綺麗になって戻ってきた。
「履き心地(つけ心地?)はどう?」
「とってもいいわ。完璧よ! それに見て! 内側には綺麗な花が描かれているわ。」
ジーパンと靴を履いてしまえば、彼女の右足が義足だということは一見わからない。しかし引きずるようにして歩く様子は通りでも人目を引く。通行人は彼女を見るために振り返る。しかしアヤはそんなことも気にせず、元気いっぱいに僕たちの先を歩いて行く。無事に義足の修理を終えたアヤ父娘は家族が待つバグダードに帰っていった。
08年10月4日
加藤 丈典(JCF/JIM-NET)
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