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ハサンとラーラ 〜シャバーブ・イラークの記事から
「シャバーブ・イラーク」という報道機関がアンマンでがん治療を続ける家族についての記事を掲載しており、ハサンとラーラにスポットが当てられている。
アンマンにイラク人のためのがん基金が設立されて以来、治療に訪れるイラク人が多くなった。今年に入ってから、250人以上がキングフセインがんセンターで治療を受け、毎月25人程度の新規のイラク人患者が訪れている。アメリカが主導したイラク戦争以降、ヨルダンにいる難民の数は増え、50万人ほどと見られている。このがんセンターには基金が設立され、病院のエントランスには寄付を行った人々の名前が多数掲げられている。しかしながらその基金だけでは、がんに冒された患者たちの命を救うのに十分ではない。

10歳のイラク人少年ハサンは、数か月前にがんが発見され、治療のためにアンマンにやってきた。現在、彼とその家族は外科手術を行うために必要な寄付を待っている状態だ。ハサンの父親はこう語る。
「治療には10万〜15万ディナール(1700万円〜2550万円)かかるんです。妻と息子のハサンは私よりも先にアンマンに来たのですが、私はイラクに残り、クルマを売り、そして家も売り払いました。そうしてイラクからアンマンに治療費と生活費を送り続けたのです。でもそのお金も十分ではなく、1か月ほどの治療のために全部使い果たしてしまいました。しかしその後、アルハムドゥリッラー!(神に称えあれ!)キングフセインがんセンターが我々のために門戸を開いてくれたのです。」
19歳の女の子ラーラは白血病に冒されている。2年前、彼女の病気は治療も一段落し、病状も落ち着いていた。しかしその後、経済的に困難な状況に陥り、治療が中断してしまった。さらに追い討ちをかけるようにアメリカ軍が彼女の兄弟を逮捕、拘留した。治療の中断に加え、大きな心労のため彼女の病気は一層危険なものとなって再発したのだという。ラーラの母親はこう語る
「スーダン人の患者はスーダン政府の補助を受けて治療しているというし、イエメン人の患者はイエメン政府の支援のもと治療を受けているとそれぞれ言っていますが、私たちはどうしてそれができないんでしょう?
私たちも自国の政府に支援を求めたいのです。私たちのイラクは資源だって豊富にあるんですから!」
キングフセインがんセンターは、ここ数年、各地からのがん患者を受けて入れている。病院の基金の総合マネジャーであるディナ王女はこう語る。
「以前から、治療とその費用を我々の基金に求めてくるイラク人はたくさんいました。そしてこれまで、ヨルダン国王や王室系財団の支援などから、総額およそ140万ドルにのぼる支援を彼らに対し続けて来ました。しかしながら現在は我々がカバーできる範囲を超える程、キングフセインがんセンターにやって来るイラク人患者は増加しているのです。」
がんセンター長のマフムード・サルハーンはこう語る。
「我々のところに来るイラク人患者は増加傾向にあります。患者全体の内7〜10%がイラク人患者によって占められています。」
保健行政をはじめとするイラクの医療の現場は、2003年の戦争以後壊滅状態に陥っている。多くの医師たちが安全を求めて国外に出て出てしまった。また同様に治安の悪化や暴力の連鎖はイラクで活動する国際機関やNGOをも追い出されるに至っている。
08年10月4日
加藤 丈典(JCF/JIM-NET)
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