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続・アハマドは自慢の息子

  バグダッド在住のアハマド・サラーム君が、キング・フセインがんセンターでの定期検査のためにアンマンへやって来ました。がんセンター近くの坂の途中にあるアパートに向かって歩くアハマド君は、まるで子犬のようにおじさんの周りをくるくるまわってはしゃいでいました。明日の飛行機でバグダッドに帰れるからでしょうか。
  今回、一緒に飛行機に乗ってきたのは、お父さんではなく、おじさん(お父さんの兄)です。お父さんは7月下旬、バグダッドの路上で爆発に巻き込まれて亡くなりました。今日、アハマド君はがんセンターから「もうアンマンに検査に来る必要はない。バグダッドの病院で毎月血液検査を受けるだけでよい」という診断結果を受け取りました。残念なことに、アハマド君と一緒に白血病と闘って、このうれしい知らせを一緒に聞きたかったはずのお父さんはもうアッラーのそばに行ってしまったのです。
  9月からアハマド君は小学2年生になりました。“お父さんの自慢の息子”は、10点満点のずらっとならんだ1年生の時の通知表を誇らしげに見せてくれました。学校を休むこともなく、よく遊び、よく食べているとのこと。
お父さんが亡くなった直後のショックは、それは、それは大きかったそうです。今は、おばあちゃん(母方)の家族と一緒に、20人近い大家族で暮らしていてとてもにぎやか。でも、テレビで「お父さん」をテーマにした曲を耳にするとお父さんを思い出して、涙をこぼすそうです。家族は「時間が解決してくれる、できるだけ思い出さないように、他のことで気がまぎれるようにしている」といいます。

  今年の7月に、アンマンに来たお父さんは自分たちが住んでいるエリアがとても危険で大きな爆発があったことなどを話してくれましたが、この2か月くらいはとても落ち着いてきたそうです。おじさんは「カルハ地区は1年以上前から、スンナ派とシーア派が攻撃しあっていて爆発も頻繁にあった。しかし、2か月前くらいから、それぞれの宗派を代表する家族が話し合いを始め、1か月ほど前にもう争いはやめると合意した。それ以降、治安はとてもよくなった。バグダッドの75%くらいのエリアは落ち着いている。しかし、電気や燃料は依然として不足している。食料の配給も不安定。2か月前に小麦粉がきて、2週間前に米が来て、それからずいぶんたってから紅茶が来て…、という調子だ。また治安が悪くなることがないように願っている」と話してくれました。

  アハマド君を「ロウソクのような存在」と誇らしげに言っていたお父さん。アハマド君の快気、バグダッドの治安の安定…、イラクに新しい灯かりがともるのを見届けることなく、この世を去らねばならなかったお父さん。おじさんとアハマド君はいつも「弟の魂に誓って…」「父の魂に誓って…」と自分で自分を励ましながら毎日を送っているそうです

西村 陽子 (JIM-NET/アラブの子どもとなかよくする会)


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