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JIM-NETはイラクのがん・白血病の子どもたちの支援をしています。
 ハニーンの発病のこと

  今日のハニーンの様子はいつもと違ってずいぶん弱々しい。昨夜の投薬の後、嘔吐を繰り返していたようだ。薬の副作用が表れはじめた。頻繁にやってくる尿意に加え、吐き気により、さらにトイレに行く回数が増えている。また、筋力が弱っているのかトイレに行くときに足がつるようになった。頭痛も激しいようで、時に声を上げて泣くほどである。ハニーンは苦しい状況に必死に耐えている。お母さんは「一時の辛抱よ!」とハニーンを励ますが、内心では化学療法の後、薬が腫瘍に対して有効だったかどうかの告知をびくびくしながら待っている。入院前の診療で3回の化学療法の結果、反応が見られなかったら打つ手がないと言われているのである。

  ハニーンのお母さんは、クウェート生まれクウェート育ちのイラク人である。湾岸戦争前は兄弟が自動車部品製造の会社を経営しており、裕福だったようだ。しかし、戦争後は他のイラク人同様にクウェートを追われ、バスラのミシュラーク地区にある親戚のところに移った。バスラではアメリカ軍がイラク軍を追撃する様子を目の当たりにした。当時、防空壕に避難して、襲ってくる砲弾の恐怖にじっと耐えていたそうだ。戦争後も電気は一日7時間しかやってこない。水もやってこない。度々途切れる、電気や水のせいで治安も悪化した。それでもバスラの住民は豊富な農業、漁業に加え、当時のフセイン政権政府からの配給(豆、小麦)などで食いつないだという。
  ハニーンのお母さんから、ハニーンに病気が見つかった時のことを詳しく聞かせてもらった。去年の暮れに公園に家族で遊びに行った時に不自然に膨らんだお腹に気づいたが、たくさん物を食べたせいだと思い、放っておいた。しかしその夜、ハニーンのお腹が激しく痛み出したため病院に連れていったのだが、医師は腫瘍に気づかず、初潮が始まったことによる炎症だと診断したそうである。それでも不審に感じた両親はCTスキャンを用いた検査をしてもらい、そこで癌が見つかった。腫瘍の切除のためいくつか病院を回ったが多くの病院は高額な前金を要求するため、入院することすらできなかった。そのため治療が遅れ、腹部の膨らみは大きくなってしまったのだ。
  ヨルダンには無料で診療を行ってくれる慈善団体の病院は存在するが、診断を下すか、痛み止めを渡すのみで根本的な治療はできなかった。その後なんとかヨルダン王家の支援を得たのだが、半年で支援を打ち切られてしまい、化学療法が中途なところで病院を追い出された。現在、ハニーンのお母さんは治療を支援してくれているスマイル子どもクリニックのみなさんにしきりに感謝している。
  ハニーン親子は苦しい状況に耐えているのだが、彼女ら親子に楽しみが一つ増えた。テレビドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」である。最初2人はこのドラマが日本のものだと思っていたが。韓国のドラマだということを教えてあげた。お母さんはチャングムの苦労する姿に共感し、ハニーンは次々出てくる料理に夢中なようである。「これはヨルダンにも韓流旋風がやってくるかもしれないな」と思いつつ一緒に鑑賞した。

07年11月5日

加藤 丈典(JIM-NET)

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