子どもたちがいる限り通い続ける
バスラで急激に治安が悪化。
5月28日キックオフした、「砂漠のゴール」作戦に早くも暗雲が立ち込めた。
今回、バスラ向けの薬は要冷蔵品と常温の2箱。29日にはバグダッドに到着。アブ・Sが、1日冷蔵庫でキープして、翌日30日に、自らバグダッドの病院へ蹴り込む。バスラへは、早朝、別のクルマにパスを渡して、その日のうちに病院にゴールするか、イブラヒムが一日冷蔵庫にキープして31日にゴールする予定だった。
しかし、バスラでは、シーア派内部での対立が激化。石油の利権もあり、事態を重く見たマリキ首相がバスラを訪問。31日から1か月の非常事態宣言が出された。市内には戦車が配備され、検問所が設けられ、治安部隊は増強された。バスラを訪問した同首相は「治安対策を1か月間強化して違法な武器を押収し、その間に事態を打開するよう求める」と語っている。「ギャングには鉄拳を下す」という。
アブ・Sの話では、30日の朝、薬をけり出したとのこと。 しかし、バスラで待機していたイブラヒムには、薬が到着したとの連絡はないという。
検問所で、薬が抜き取られ闇市場へと横流しされることも十分あり得る。今のイラク政府は信用できないもの事実。薬を怪しまれて検問所でとめられたら…。今のバスラの気温は45〜48℃。薬にとっては、厳しい温度だ。
バスラのドクターに問い合わせたところ、「31日の朝到着しました。残念ながら、政府からの供給はありません。あなたたちは、患者にとって唯一の望みです。それで、、実に、、申し訳ないのですが、追加の薬のお願いをしたい」とのメール。今回はロスタイムに入ってからのゴールのようなもので、ぎりぎりセーフだったが、次は、非常事態宣言下のバスラでいかに薬を入れるか、厳しい戦いが続く。
一方、冷蔵が必要ない別の薬はアンマンからロングパスを出して、これも31日の朝には、無事に病院にゴールした。
イブラヒムからは、「今、病院にいる。ドクターから薬が届いていることを確認したよ。」と電話がかかってきた。
どうやら、シュートを打とうと身構えていたイブラヒムにはパスが行かなかったようだ。
「戦車が街中に配備されていて、検問所がたくさんできている。」
危なかったら、外に出なくていい。院内学級を休んでいいと言うと、
「なぜだ?!
子どもたちは待っている。イブラヒムは大丈夫!!」と決意を語ってくれた。
ところで、ワールドカップは、どこを応援するのか訊いてみると
「イブラヒム、ブラジル!」
「日本じゃないの?」
「え!? い、いやー、日本には感謝しているが、ブラジル大好きネ」
佐藤 真紀 (事務局長)


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