現地情報アンマン2006
>冬の入り口のアンマンから
 冬の入り口のアンマンから

 
11月26日、アンマンに戻りました。
 アンマンは秋、というか、冬の入り口です。まだ、本格的な雨のシーズンには入っていないものの、ストーブが手放せません。
 アンマンのがんセンターで治療を続ける、アリくん、アハマド・ザキくん、マハムードくんたちを訪ねると、家族がかぜをひいたり、急に寒くなったので体調がおかしくなったりしているとのことでした。でも、みんな「おかえりー!!」と笑顔で迎えてくれました。


 ダウンタウンの野菜市場に行きました。いままで、元気よく店頭を陣取っていたきゅうりやトマトがすっかり生彩を欠いて、棚の隅っこのほうに縮こまっていました。しかし、年間を通じて、トマトときゅうりはアラブ料理のサラダや煮込みスープに欠かせません。代わって店頭に積み上げられているのが"カーカ"(柿)と"カスタナー"(栗、ストーブの上に並べて焼いて「はぜたら食べるとうまいよ!」とのこと)、りんごや大小、甘いのすっぱいのいろいろのみかん。市場がオレンジ色にほんわか染まっています。ちなみに、みかん以外はトルコや近隣の国からの輸入品だそうです。

 先日、バグダッドからアハマド・サラム君(白血病)が、定期健診のため飛行機でアンマンにやってきました。
 9月からアハマドは小学1年生になりました。朝、8時ごろ学校に出かけ、1時か2時ごろ帰宅、お昼ご飯を食べて、昼寝をしたら、あとは夜10時、10時半ごろまで、5年生のお姉ちゃんと一緒にずっとお勉強をしている、非常に模範的な小学生なのだと、お父さんが誇らしげにいっていました。学級でも一番の成績で、すべての科目10点中10点の成績だそうです。宿題のノートを見たら、とてもきれいな字がずらっと並んでいました。
 でも、やっぱり…、
  子どものTVゲーム好きは万国共通ですね。自分でイラクから持ってきた"キャプテン翼(字、音声はすべて日本語)"ゲームにアハマド・ザキくんやカリームくんとともに、没頭していました。ゲームの魅力には勝てないようです。

 アハマドがバグダッドの小学校に入学する3、4日前に、イラク教育省の大臣がTVで「新学期に備えて、子どもにノートや鉛筆を買わないように。はじめの3、4日に使う薄いノートを1冊だけもたせて登校させるように。授業が始まったら、すぐにノートも鉛筆もすべて政府が支給する」というスピーチをしたそうです。ところが、9月25日に新年度が始まって1か月半たっても鉛筆1本もらっていないとのこと。アハマドの兄弟がかぜをひいて病院につれていったら、診察券(のようなもの)を購入してから来るように言われ、買いに行くと「そんなものはない」と言われ、病院にもどると「券がないなら診察しない」と言われた、市民はまったく混乱の真っ只中にいる…とのこと。
 幸いなことに、アハマドのバグダッドの自宅付近は子どもが単独で通学することも可能な程度の治安状態なのだそうです。ただ、アハマド君は体調により、父親が通学に付き添うこともあるそうです。「サドル・シティだって、何もないときは安全なんだ。米軍が来て包囲したり、車爆弾があったりすると、一変して危険な場所になる。もともとは安全な場所をそういうものが危険な場所に変えるんだ」 右の写真は、新一年生コンビ アハマド・サラム(右)とバスナ・ザキ(アンマン在住)

 アハマドの父は、バグダッドでアハマドが熱を出したり、下痢をしたりしたら、すべて自分で必要な薬を薬局に買いに行くそうです。何が必要かはアンマンのがんセンターでの治療中に、どういう症状のときに医師がどういう薬を処方したかすべて覚えてそれと同じものを買いに行くのだそうです。通訳をしてくれたアハマド・ザキくんとお父さんとともに、「ほおの色とか目の腫れ、眠り方などで、白血球の値が悪くなってきているとか、お腹に触った具合で、腎臓の調子がどうかとか、長い闘病生活の中で子どもの健康状態の見当がつくようになってきた。それで、病院に連れて行くとだいたい結果は予想通りなんだ」という話をしていました。男の子だからなおさらなのでしょうか、どこの家庭でも、ことのほかお父さんが子どもの健康管理に心をくだいているようです。
明日は、がんセンターでアハマド君は検査を受けます。「日常生活を見る限り、健康状態は良好に見える。検査結果がよいといいんだが…」と背がずいぶん伸びた(横幅も…)アハマド君の頭をなでがらお父さんが言いました。

西村 陽子 (JIM-NET/アラブの子どもとなかよくする会)

アンマン便りのトップへ ⇒