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| とっても輝いている!
イラクの子どもたち イラク国内からアンマンのキング・フセイン・がんセンターに治療に来ている子どもたちの近況です。 アリアリはがんで両目の視力を失った。光さえ感じない。 昨年の冬、病院の近くの路上でアリと母親に行き会った。 「一人できたの?」とアリがヨウコに聞く。 「そうだよ、一人だよ。」 アリ:「女の子が一人で出歩くなんてハラーム(かわいそう? 不謹慎?)だよ。」 アリの母:「アリ! ヨウコは大人なんだよ。」 通りがかったアハマドの父:「お前は女の人には優しいんだなあ。」 アリ:「そうだよ。男は女の人に優しくしなきゃ。」 アハマドの父:「そうかあ、ヨウコのこと気に入ったか、でも、お前よりずいぶん年上だぞ!」 アリ:「僕は年上が好みだね。自分より年下の子には興味ないよ。」 アハマドの父:「そうはいっても、ヨウコはお前の母さんよか年上だぞ。」 アリ:「年なんか関係ないさ!」 (大人3名、大爆笑!!!) おそるべし! 4歳児、アリ君! であった。 しかし、やっぱり4歳児。目をいじられたり、体を触られたりするのが怖くて、病院の入り口でわんわん泣いて、お母さんを困らせている。 あるとき、お母さんと病院で待ち合わせをした。木陰のベンチに座っている彼らの姿を見つけて、私は遠くから手を振った。すると、母親が言う。 「少し前に、アリがヨウコはもう、門のところまで来ているよって、言ったのよ。」 父親が教えたという。「アイ、ノーズ、マウス、ネック、アーム、ハンド、フィンガー…。」母親が体を触って、アラビア語で名前を言うと、それをスラスラと英語に訳していく。 「猫とアヒルがいるよ。丸に、三角…。」母親と言葉を交わし、ペンの感触を確かめながら、紙の上をアリの手が動く。 母親と手をつないで地下トンネルの階段を降りていくアリは、足の裏で段差を軽く確認しながら、なんのためらいもなく自然に進んでいく。 ヒジュラン
ヒジュランとはアラビア語で「動き回る」というような意味があるそうだ。でも、今、12歳の彼女は動き回るどころか、ベッドの上で体を起こすこともできない。 白血病の治療は順調に進んでいた。 2か月ほど前、イラク西部の彼女の自宅付近で襲撃事件が起こった。「殺される!」彼女はパニックになった。そして、次の日の朝から足がぶるぶる震えて、一歩も歩けなくなってしまったという。 父親がなんとか交通費とぎりぎりのホテル代を作って、アンマンのがんセンターまで出てきた。検査の結果、背骨に問題があることがわかった。背骨の治療が始まった。前にも増して、体の自由がきかなくなってしまった。でも、彼女の笑顔だけはこわばることがない。目が合うたびに100%全開の笑顔。そして、はりのある明るい声。 彼女の街は戦争からずっと、爆発と銃声とたくさんの人の死に取り巻かれ、自由も平和もない。家の中でもう2か月も寝たきりで、しばしば痛みが体を襲うのに、ヒジュランはぜんぜん打ちひしがれていない。彼女の心は、自由に飛び回っているかのようだ。 ムハンマド
長男ムハンマドは白血病と闘っている。そのお兄ちゃんをアンマンで支えるのは、4人の弟と妹たちだ。次男のナジムは、お兄ちゃんの具合が悪いときは、お客さんに冷たい水をすすめたり、果物を運んだりする役目を一人でする。妹のゼイナブは簡単な料理ならお母さんのかわりに作ることができる。小さい妹のサファはおしゃれ好き。でも、最近よく食べるせいで洋服がどんどん小さくなってしまったという。末っ子のアブードゥはまだ2歳。家中をちょこまかと動き回ってはいたずらをする。それを、見つけてはおとなしくさせるのが、大きいお兄ちゃんムハンマドの役目。 皆で絵を描いた。「マジックペンのキャップをすぐに閉めないと乾いて書けなくなってしまうよ」と2回注意した。上の3人はすぐに閉めるようになった。絵を描き終わると、ゼイナブとナジムがとても丁寧にペンや色鉛筆をならべなおして、返してくれた。こんなに大事にペンや鉛筆を扱ってくれる子供にヨルダンで初めて出会ったような気がした。 ムハンマドの家族はイラク、バグダッドの北にある村に住んでいる。チグリス川のほとりだ。川には大きな魚がいる。漁師がそれを釣って売りに来る。それを買って料理する。 彼らの故郷は川、緑、花、鳥…豊かな自然の中に家々が立ち並ぶ、のどかな農村だった。それが、今は、戦場だ。 (水色のシャツの少年がムハンマド) ![]() アヤ 5月に日本で報告会をやらせてもらった横浜のリサイクルショップで、イラクの子どもたちにファッションショー用(?)の浴衣をプレゼントしてもらった。 アヤにはぴったりサイズ。すっかりはしゃいで、腰をくねくねアラビー・ダンスを踊りだすもんだから、帯も浴衣ははだけてしまった。 いろんなポーズで写真をとる。義足がまだ新しく、幾分長めに調整してあるので、壁に寄りかかって、撮影するせいか、フラッシュが変に反射して顔が白っぽくなる…。なんか、おかしい…。デジタルカメラのレンズを見たら、アヤの弟・アブダッラーの指紋がべっとり。原因がわかったころには、アヤは浴衣を脱いで、遊びに熱中し始めた。 「ベブシ・ベブシ・コーラ・コーラ…」日本の"ずいずいずっころばし"のような遊びをしている。お次は、手を一つずつ重ねて…日本では、"せーの"で皆が手をひっこめ、一番下に手のある人が誰かの手をたたく、というオチがあるが、イラク版(アヤたちの場合?)では、全員が手を引っ込めるのである。一緒に遊んでみたが、今ひとつ釈然としない。でも、本人たちは楽しそうにきゃっ、きゃっと喜んでいる。 最後は目隠し鬼。これは万国共通。お母さんのスカーフで目隠しして…。当然、オニはヨウコ。「アナ・ホーン!(こっちだよ)」とアヤとアブダッラーが手をたたく。声と音のする方へ、手を伸ばすと、もう背後から笑い声が聞こえている。義足もものとせず、ものすごいスピードで走り回っているらしい。ごちっと鈍い音がして、「ウワーン」という泣き声。目隠しをとると、弟のアブダッラーが床にひっくり返っている。アヤは部屋の隅っこで涼しい顔をしている。 おもいっきり遊んだその夜、彼らはバグダッドへと帰っていった。 06年8月11日
(西村陽子 JIM-NET/アラブの子どもとなかよくする会 エイドワーカー。写真も) |