現地情報アンマン2006
>難民キャンプの健康診断

 サダム政権崩壊からまもなく3年が経とうとしています。
 政権崩壊した当初、クルド人とパレスチナ人を中心に約2000人が難民としてイラクからヨルダンを目指しやって来ました。そして約3年が経った現在、その数は495名まで減りました。国連は定住のための第三国を探していますが、受け入れ先を探すのは簡単ではありません。JIM-NETでは半年に一度、JIM-NETアンマン会議のために日本からヨルダンを訪れる医師を難民キャンプに派遣し、子どもたちの健康診断を行うとともに、不足している医薬品の支援を続けています。今回もスマイル子どもクリニックの資金援助によりキャンプを訪問することができました。

リポート:難民キャンプの健康診断

 ルウェイシド難民キャンプはヨルダン・イラク国境から約60kmヨルダン側の砂漠の中に位置し、現在、75家族495人がUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の管理の下、約3年もの間、ここに閉じ込められています。
 私が難民キャンプを訪問するのは今回が初めてで、砂埃の中にテントがひしめき合う、劣悪な環境をイメージしていましたが、実際に訪れてみると、それなりにこぎれいで感染症が蔓延している様子もありませんでした。
 2005年9月にスマイル子どもクリニックが健康診断を行った小児166人のうち、再診が必要な小児22人と成人5人の合計27人をピックアップし診察にあたることにしました。
 ほんとうなら時間のある限り多くの人を診たいところですが、井下医師(JIM-NET医療コーディネーター)、佐藤事務局長、私(看護師)の3人での診察なので、それはかないませんでした。
 結局、ピックアップした27人のうち、非ホジキンリンパ腫が悪化してアンマンの病院に入院している小児1人、リハビリのため入院している成人1人、デンマークやニュージーランドに受け入れられた小児8人、成人2人の合計12人を除く15人に、小児患者1人、成人患者2人がプラスした合計18人の診察をしました。
 私が気になったのは、虫歯の人が多いことです。口腔ケアというのは本人も支援する方も忘れがちですが、虫歯を放っておくと食事ができなくなったり、または食欲不振になり、栄養不良につながります。また、場合によっては敗血症で死亡することもあるので、「たかが虫歯」と、放っておくことは危険です。
 就学前の子どもたちが集まるプレイルームには、歯ブラシの絵とともに「歯磨きをしましょう」というような絵が貼ってあったのですが、きちんと子どもたちに指導しているのか気になるところです。(左写真、右から井下医師、国井看護師)
 今回の診察では、栄養不良や虫歯だけでなく、尿路感染、稽留睾丸、虫垂炎なども見られましたが、JIM-NETが次に訪問するまで誰かが責任を持って彼らの健康管理をするというシステムは特に作られていません。実際に、2005年の9月に健康診断に訪れたときに、「治療の必要があるので、病院にかかってくださいね」と伝えてあっても、半年たった今回、「病院には行っていません」という答えがチラホラ聞かれました。治療するかしないか、自己管理をきちんとするかしないかは本人とその家族にかかっています。
 UNHCRは、命に関わるような緊急の場合であれば積極的に関わってくれるのだろうとは思いますが、そうでなければ難しいでしょうし、キャンプ内の診療所のドクターたちも、こちらから働きかけなければ、自分の仕事以外のことは、きっとやらないでしょう。JIM-NETとしては、ささやかながらルウェイシド難民キャンプに関わり続けていきたいと思います。

             国井 真波 (看護師:JIM-NET)

■ これまでの支援状況
2004年8月15日 第1回JIM-NETアンマン会議 
グローブ大分よりサッカーボール20個を難民キャンプへ
2005年2月14日 第2回JIM-NETアンマン会議
JIM-NETより8000ドル分の医薬品寄贈
スマイル子どもクリニックよる健康診断
湯川れい子さんよりサッカーボール36個を寄贈(JVC経由)
2005年7月 民医連より8000ドル分の医薬品
2005年9月5日 第3回JIM-NET会議 
健康診断と3000ドルの医薬品支援(協力:スマイル子どもクリニック)
2006年3月29日 第4回JIM-NETアンマン会議 
8000ドル分の医薬品支援と健康診断のフォローアップ(協力:スマイル子どもクリニック