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クウェートは劣化ウラン弾にどう取り組んでいるか

クウェート レポート

調査の背景

劣化ウラン弾が安全であるという、科学的に信頼できる研究結果はない
湾岸戦争から10年たった2001年。クウェートは、11月6日を「戦争と武力紛争による環境の収奪を防ぐための国際デー」とするように国連に提案した。湾岸戦争では、石油の流出による海洋汚染や油井の火災による大気汚染が発生し、多大な環境破壊が行われた。火が完全に消えたのが、9ヶ月以上たった11月6日であった。これに対し、イラクも劣化ウラン弾による環境破壊を引き会いに出し、「国際行動デー」の概念に賛成の意を表している(1)。第56回国連総会で採択された。

コフィ・アナン事務総長は、記者会見で「戦争は人々の苦しみをもたらすだけではない。戦争は環境をも破壊する。平和が回復された後も、長期にわたって、紛争による環境への悪影響が残っていることがしばしばある。」とし、「核・化学・生物兵器についての国際条約はあるものの、劣化ウラン兵器のような新たな技術が、環境への未知の脅威をもたらしている。戦争による環境への被害は、平和の回復と社会の再建への障害にもなっている。」と述べた。

さらに10年が経ち、2011年は、湾岸戦争から20年になる。劣化ウラン弾が、初めて実戦で使用したのがこの戦争だった。イラクでは、未だに、この時の放射能汚染が問題視され、がん患者が増えている。しかし、クウェートでも多くの劣化ウラン弾が使用された。イラクがクウェートを併合していたために、多くのイラク軍の戦車が配備してあった。米軍は、これらを劣化ウラン 弾を用いて破壊していった。バスラとクウェート・シティをつなぐ高速道路は、死のハイウェイと命名されたように、敗走するイラク軍に容赦なく爆撃を加えた。約300トン使用したといわれる劣化ウラン弾の多くはクウェートで使われているのである。そして、湾岸戦争終結後、クウェート内に作られた米軍のキャンプ・ドーハでは、7月に火災事故がおこり、貯蔵してあった劣化ウラン弾が燃焼するという事故がおきた。これらの放射能汚染は、クウェートの人々に影響を与えていないのだろうか?

そして、汚染物質は、どのように管理されているのか。 最近では、キャンプ・ドーハが、クウェートに返還されることになり、キャンプ内に保管してあった汚染土を巡り、米国が引き取ることになったという。 日本でも、沖縄の米軍嘉手納基地には、劣化ウラン弾を貯蔵2しており、「基地による環境汚染」という観点からも、クウェートとアメリカでどのような話し合いがなされたのか興味ぶかい。 こういった一連の動きをモニターして、クウェート政府に圧力をかけてきたのが、クウェートの環境団体である。今回は、クウェートにおいて、政府や国連機関、軍そしてNGOなどがどのように協力して、環境保全に努めているのかを調査した。
日本が、今後劣化ウランの禁止に向けてどのような国際協力をし、リーダーシップが取れるのか、提言したい。特に、イラク国内では、劣化ウランの問題が、最近新聞等で頻繁に取り上げられているにもかかわらず、政治が安定せず、イラク政府としてのイニシアティブが取れていない。先の国連総会では、劣化ウラン弾に関して、話し合いがもたれた。そのために、各国及び、国連の関連機関は、劣化ウラン弾に対する考えをまとめ、事務総長に提出することになっていたが、残念ながら、イラクという当事国が考えを明らかにしていない状況である。また、クウェートも、理由は定かではないが未提出である。

サダム政権が崩壊した後、クウェートとイラクは国交が回復した。今後更なる交流が望まれるが、2つの当事国の市民の立場にたち、私達は、何をしなければいけないのか、何が出来るのか、考えてみたい。

(1)ただし、11 月 6 日は、クウェートにとっての政治的な意図があり、別の日を選ぶべきと主張した。
(2)2001 年には 40 万発所有していた事が、米国情報公開で明らかになった

調査団の詳細
JIM-NETは、12月27日―1月1日まで、クウェートに劣化ウラン弾の取り組みに対する調査を行うために、調査チームを派遣した。
チームのメンバーは、佐藤真紀(JIM-NET事務局長)加藤丈典(JCF所属)の2名
訪問先は、NGOグリーンライン、クウェート防衛省、クウェート環境省、クウェート保健省(クウェートガン登録センター)NBK小児血液病院その他、湾岸戦争を伝える記念館

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