イベントリポート>2006年
> 6/17 イラクの子どもたちへ... とどけつづける思い +イラクを食べる 

■ 第1部 報告会
  6月17日、松本市でエイドワーカーの西村陽子さん(JIM-NET/アラブの子どもとなかよくする会)の報告会とイラク料理教室を開きました。
 西村さんの報告は、そのあとのイラク料理教室が気にかかっている参加者を念頭に、食べ物をひとつのキーワードにして進みました。
 色とりどりの野菜が並ぶバグダッドのマーケット。色とりどりの野菜が並ぶようすは、絵になり、写真になるステキな光景です。しかしマーケットで買うためにはお金が必要です。また配給制度で配給される品目が減ったりすることもあり、イラクでは、戦争直後から今に至るまで食料不足の問題は解消されていないようです。
 イラク戦争直後、お腹をすかせたストリートチルドレンの子どもたちに、西村さんや高遠菜穂子さんはサンドイッチを差し入れていたのだそうです。しかし、いつもサンドイッチなのでさすがに飽きて、子どもたちがみんなで料理を作るようになったのだそうです。その中に、ひとり群を抜いて調理方法に詳しかった男の子がいたそうなのですが、話を聞いてみたところ、彼は、母親が料理をする手伝いをずっとしてきたという大兄弟の最年長だったのだそうです。彼が身につけた料理のノウハウは、他の子どもたちに伝授されていったのでしょうか?
 JIM-NETが今年の2月から3月にかけて行った「限りなき義理の愛作戦」も、チョコレートという食べ物が大きな役割りを果たしていました。2種類のチョコレートと絵のカードは全部で6種類。6人の子どもたちの絵がそれぞれバレンタインデーとホワイトデーのカードになりました。"I Love You!"と"I Love You too!"というメッセージは2月14日と3月14日に限定のものではなく、イラクに暮らす子どもたちや白血病と闘う子どもたちと、医療支援のために募金をしてくれた皆さんの間でのメッセージでもありました。そしてそればかりでなくアラブ社会ではよく使われる表現でもあり、なんと手術後うっすら目を覚ましたムスタファ君と西村さんの間でのメッセージでもあったことがわかりました!! 
 西村さんのお話からは、誠実に薬を運んでくれる運送屋さん、薬の買い付けなどの準備をしてくれる薬剤師、お金以外にできる支援をしようとヨルダンで他の患者の面倒をみてくれる患者の家族、ドルマ作りを伝授してくれるお母さんなど、実にたくさんの現地の方たちが、エイドワーカーとして活動する彼女の周囲にいることが伝わってきました。そしてそういった方々との共感を大事にしながら支援活動をしているという西村さん。7月半ばにはヨルダンの現場に復帰します。

リポート:小森 麗子(JIM-NET

■ 第2部 料理教室
<作ったもの> ドルマ、ショーラバ・アダス(レンズ豆のスープ)、ムハラビーヤ(ローズウォーターのデザート)、イラク風チャイ

 報告会の最後に「ドルマの作り方」の映像を見てもらいながら、西村さんか作り方のポイントを説明しました。約10分間の映像を見たあと、隣の料理教室に移動、参加者たちは、5つのテーブル分かれ、早速野菜を切ったりレシピを確認したり、調理に取りくみました。スタッフ7名、参加者10名強で行ったのですが、主婦が多かったせいか各テーブルとも手際よくスムーズに進めることができました。西村さんは質問を受けながらテーブルをまわり、楽しく和気あいあいとした雰囲気でした。
 料理教室の前日まで、西村さんとレシピについて、ああでもないこうでもないと何度も練り直しながら作成したのですが、実際に作ってみると酸っぱかったり塩気が足りなかったり、いろんなドルマが出来上がりました。みんな、違うテーブルのドルマを味見したり交換したり、「もっとこうしたほうが良かったんじゃない?」とアドバイスをし合っていました。
 4品目の中でどのテーブルも美味しく作れたのはショーラバ・アダスでした。ドルマに酸味があるので、まろやかなスープを一緒に作って食べたのは正解でした。
 ムハラビーヤは、冷蔵庫で固まるのを待ったのですが、火を止めたタイミングによって、固まったり固まらなかったりで、成果が大きく分かれました。
 料理はその国のことをより身近に感じることができ、その国の文化を理解するベースになると、あらためて実感しました。もっともっと多くの人にイラクのことを知ってもらうために、料理を広めて行きたいと思います。

■ 第3部 座談会
 料理教室の後は、デザートを食べながら、お茶を飲みながらの座談会。料理の感想を皮切りに、イラクに対する思いを語ってもらいました。
 料理教室を通して、イラクの「食」が豊かなことを知ることができたこと、最近はイラクのニュースもあまり流れなくなり、イラク戦争は「終わったこと」ととらえられがちなこと、アラブ世界やイスラム教に対するイメージを良くしたい、などなど…。
 そして午前中の報告会で西村さんから聞いたことについて質問をして、もっと詳しく話を聞きました。
 アラビア語には方言があり、イラクとヨルダンでも意味が全く違うことがあること、ムスタファとの出会いから、ムスタファのお父さんの思い。ラマダンの様子、西村さんのヨルダンでの一日の生活について、などなど…。
 西村さんがイラクやヨルダンで一人一人と丁寧に誠実に向き合い、厚い信頼関係を築いていることを改めて感じることができました。報告会で聞ける話以上のもの、イラクの人たちの生活に根付いた話を聞くことができ、イラクを隣人のように身近に感じることができました。半日かけたイベントでしたが、座談会まで開催して良かったと思います。

リポート:国井 真波 (JIM-NET/JCF)