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■ 六ヶ所村の葛藤と自らの葛藤 K:鎌仲
ひとみ I:熊谷
宏
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| I: |
ほんとうは六ヶ所村だけではなく日本全体の問題なのですけどね。 |
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K:
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そうなんですよね。それが六ヶ所村という一部の地域の問題に矮小化されているんですよ。それが日本の他の大多数の人たちには、このマイナスの部分が見えないようにしてあるんですよね。 |
| I: |
ほんとうに難しいですね。 |
| K: |
そうでしょう?
だからみんな(こんな映画は)つくんないんだよっ ! (笑) |
| I: |
それはいい! (爆笑) |
| K: |
だって、原発反対派、推進派の両方から批判されますからね。 |
| I: |
「だからみんなつくんないんだよ」の一言がすべてを物語っていますね。(笑) |
| K: |
そうですね。だけど、今見ないと未来を変えられない。 |
| I: |
『六ヶ所村ラプソディー』は、社会的な意味よりも、こういうことが起きたときに個人のレベルでどれだけ悩まなければいけないかとか、地域社会がどれだけ葛藤するかとかいったことが、とてもよく描かれていると思います。社会的なテーマを扱った作品なのだとは思うのですが、それよりも、そういう中で生きていかざるを得ない人々のヒューマン・ドキュメントであると感じました。 |
| K: |
そうなんですよね。それを今までだれも描いていなかったんですよね。 |
| I: |
そうですね。その点で大変素晴らしい映画だと思ったんです。 |
| K: |
映像を見るという体験が肉体的になるということがいいなと思っているんですよ。『ヒバクシャ』のときも、自分の子どもがとか、自分がイラク人として生きていたらどうなったかとか、あるいは自分がハンフォードの風下に暮らしていたら、テリーみたいな生き方をするか、トムみたいな生き方をするかということが、自分の中で問われるという作業が、肉体化されるというか、何と言えばいいのか…、映像を見るというのが自分の中の肉体になるっていうか…。そういうことだったらいいなと思っていて、六ヶ所村ラプソディーでは、自分が六ヶ所に生きる村人だったらという、そういう追体験を自分の中で肉体化できるというか…。彼らの痛みを痛いと感じるというか…。
でも、試写した時には専門家たちから総スカンだったんですよ。 |
| I: |
え〜っ!? それは信じられない! おそらく批判的な方は、テーマがハッキリしていないとか、曖昧であるか、そういうことを言うのでしょうが、でもそうではなくて、まさに葛藤がテーマであって…。 |
| K: |
葛藤がそのまま出ている…。人間はどちらかに固定してしまえば楽なんでしょうけど、現実はそう簡単にはいかない。 |
| I: |
葛藤する村人たちの中に入り込んで、監督自らも葛藤しながら撮った映画ですよね。
いわゆる反対派の菊川さんや苫米地さんもよく描かれていましたが、推進派の地元建設会社の社長で村会議員をやっている方や、再処理工場で働いている上野さんもよく描かれていると思いました。特に上野さんは、内心の不安というか、そういうことが見ている側にも強く伝わってくると思いました。私は映画を見ながら、少しも地元の推進派の人を批判する気持ちは起きませんでした。 |
| K: |
そうなんです。上野さんがいかに優しいお父さんであるかとか…。彼は男気もあるし、本来、漁師として生活していけるなら、全然問題ないんですけれどね。 |
| I: |
どちらが善でどちらが悪だというような映画なら、果たして見る価値があるのかという気もします。どちらかを善玉、どちらかを悪玉として描くことには意味が無いように思います。 |
| K: |
実は私は推進派の人たちにすごく共感があるんですよ。もし自分があの中で暮らしていたら、果たして流されずに生きていけたのかというと、そんな自信は無い。
例えば、苫米地さんが「放射能が問題だー!」とか言うと、村の人たちは「そんなこと言うんじゃない。黙っていればわからないんだから」と…。それは本当にふつうの人たちが言っているんですよね。特に悪い人たちがそういうふうに言っているんじゃなくて、だれでも言うことなんですよね。言ってみれば、私たちが言っていることなんですよ。放射能を降らせる相手に言うんのではなしに、すぐそばにいる弱い人に向かってそれを言うんですよ。 |
| I: |
言われたらたまりませんね。 |
| K: |
「がんばって!」と言うのではなく、「そんなこと言うな!」と言うんですよね。それは日本だけでなく、ハンフォードでもあったことですが…。
本来であれば危険なものなのに、それをいいものだと言わなければならないし、自分たちの生活の中に受け入れなければならない。それを批判する者たちを抑圧しなければならなくなるというか…。
でも、六ヶ所村の場合は「再処理工場」だけれど、それがいざ「戦争」となったらどうなのか? 国策と言って戦争するのか、国益のためと言うのか…。(六ヶ所村と)同じようなことが起きるのではないかと思うんです。 |
| I: |
根っこは一緒ですね。 |
| K: |
そうですね。根は一緒ですね。 |
| I: |
優れたヒューマン・ドキュメントとしての『六ヶ所村ラプソディー』をぜひたくさんの方に見ていただきたいですね。
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