現地支援レポート

2012/01/07

イラクニュースをピックアップ

皆様、明けましておめでとうございます。JIM?NETでは、現地のニュースを翻訳し、皆様に紹介していくサービスを開始します。今月は、米軍撤退後の環境問題を取り上げます。

イラクが直面する環境問題

・米軍撤退後に除染作業 ズィー・カール県では米軍の撤退に伴い、かつてキャンプとして使用されていた区画一体を除染。放射性物質による汚染の有無の確認を行っている。県環境局のルージー・ナイーマによると「関係省庁すべてから、地域一帯に健康に害を及ぼすような放射能汚染の有無をきちんと確認する必要があるという提言が行われた。」とのこと。加えて県では既に2年前から放射能汚染調査チームを組織し、汚染調査にあたるべきだと要請してきたが、米軍側はこの要請を拒否してきたのだという。これまでに行うことのできた汚染調査の実態というものはイラクの民間会社が政府の指導要綱に従い、米軍から購入した物資のみ調査を行うという非常に限定的なものだった。
米軍撤退後の最近になってようやく環境省と防衛省から区画内部に入り、その中の土、倉庫、要らなくなって捨てられたたものなど、すべてを対象とした調査を行う承認を得た。ルージー・ナイーマは「我々はこれまで戦争中に空爆を受けた地域の除染作業を行ってきましたが、そこで人体に害を及ぼすような汚染を確認しているのです。こうした経緯もあって米軍キャンプに対しても汚染があるのではないかと注意を払うことは当然のことでしょう。もし、米軍キャンプの区画内で汚染が見つかった場合、保健省は米軍に対しどのような法的措置を求めるのか?その点をいまだ明らかにしていません。今後は県の安全委員会と保健省側の連携を密にしつつ足並みを揃えていくことが求められるでしょう。」と話した。
これまで米軍は県からの要請に対し「ハイレベルなところからの承認を要する問題」の一点張りで十分に応じようとはしなかったということだ。
ズィー・カールを訪問した保健省大臣サルコー・ラザールは「ズィー・カール県内の空爆による放射能汚染の疑いのある全9.2千万平米の内8.8千万平米の除染をこれまでに完了した。また別の汚染の疑いのある地域7千万平米の場所も特定した。」と除染作業の進展具合について語っている。
南部地域地雷対策センターのニブラース・ファーヒルはセンターがこれまで収集した情報からズィー・カール県内に71地域の危険な場所が存在するとしている。その内訳はナシリア25、ジャバーイシュ郡に18、その他スーク・シュユーフ・ワ・アシーラ地区やシャトラ地区などに16存在するということだ。ニブラースによると「これらの調査結果は自助努力で行われた一次調査の結果に過ぎないもの」と話している。

・汚染された汚泥の隠蔽事件によりカルバラ環境局局長が更迭 子供40人が被害?span>カルバラでは発がん性の化学物質や放射性物質を含んだ土の不適切な廃棄によって子供40人がその被害に遭ったとして大きな騒動になっている。カルバラのフセイニーヤ地区の川から発がん性物質を含む汚泥が発見されたことが発端だったが、実はこの汚泥はカルバラのファタフ・アルムビーン地区から運ばれ、フセイニーヤ川に埋められたものだったことが判明した。県農牧プロジェクト委員長のラザーク・ダヒールによると以前、高等技術省によって行われた調査では一切の汚染は見られなかったという。ファタフ・アルムビーンはかつて軍事関連の工場があった場所。それが元でこの辺りに発がん性物質による汚染が拡散したことが指摘されている。しかし汚染された汚泥であるとわかっていながら、カルバラ環境局はフセイニーヤ川にこの土を埋めた。そのためにカルバラ環境局は現在厳しく責任を問われている。環境省は先日カルバラ環境局長であった、ハイダル・ファワード・ラシードを更迭。代わりの局長を新しく任命した。この環境局の行った汚泥埋め立てによって1年半に渡り周辺住民の子供40人が被害を被った可能性があるとメディアは報じている。現在カルバラの住人はこのフセイニーヤ川の汚染問題に不安を感じており、行政側は緊急会議を開催し、各方面の関係者と対策について協議する方針だ。現在フセイニーヤ郡では40人の小児ガン患者が記録されており、汚染泥で埋められた川の周辺で今後ガン患者が増える可能性があると警告している。一方、調査にあたった医師は放射性物質によるガンの発生には少なくとも5年はかかるとして報道で騒がれるような汚染はなく、また病気が川の汚染によるものであることを否定した。保健省のフセイン・カマールは「カルバラ環境局はこれまで県政府側からファタフ・ムビーンの泥をフセイニーヤ川へ移すことに合意するよう圧力を受けていた。」と更迭された保健局長に同情的な態度を示している。現在保健省は聖地カルバラに徒歩で巡礼を行う人々に対し、汚染物質の吸引をなるだけ避けるように注意を呼び掛けているということだ。
・アルカーイダ 発ガン性物質を爆弾に使用か内務省爆破物対策局は12月22日に発生した爆弾テロにアルカーイダが関与していると発表したが、その中で対策局は爆発物に発がん性物質が使用されている疑いがあることも明らかにした。対策局長ファーリス・アブドル・ハミードは最近の武装勢力は爆弾テロに新しい手法を採用しつつある。犯人らは発がん性物質を含んだ爆発物を設置後、レーザ光線を使って起爆するという進んだ技術によるテロ行為を行っている。爆発による殺傷を目論むだけではなく、爆発から逃れたものもガンによってダメージを与えようとしていると話した。対策局側はこうした新しいテクノロジーテロに対抗する対策を既に打ち出しているということだが、それについての言及は避けた。バグダードでは12月22日に連続爆弾テロ事件が発生。63人殺害197人負傷という大惨事に発展した。またこの事件に治安部隊幹部4人が関与したとして逮捕されている。マーリキー首相は外国勢力による介入が背景にあるとして、強くテロ行為を避難した。

発がん性物質のある魚に関する報告書提出をバスラ保健局に要請
現在バスラの地元紙などが、カイヤン(アルバーサ)と呼ばれるナマズの一種が発がん性のあるマラカイトグリーンを含んでいる危険性があるのではないかと連日報道し、ちょっとした騒動になっている。バスラ県知事はこの問題について保健局側に対し最終報告書を提出するように要請した。また知事相談役アブドル・ジャッバール・アルシャーウィは「保健局に対し、必要な措置を大至急執るよう命じた。またヨルダンの会社を通じて国内に入ってくるカイヤンの輸入禁止措置も考えている。」と話した。このカイヤンという魚は発がん性物質である「マラカイト・グリーン」を体内に含有している恐れがあり、メディアなどが摂取を控えるべきであると最近報じていた。カイヤンは主にベトナムなどに生息しており、汚い水を好む魚であるという。そのため魚の体内に存在するバクテリアを殺菌するためにこのマラカイトグリーンが使用されることが多々あるのだという。

・ナシリヤで干ばつ1400家族が移住 ナシリヤ北部のダーウィヤ地区では干ばつの被害のため1400家族がナジャフやカルバラなどに移住している。この地では水不足が深刻になり、農業や放牧に大きた影響を与えている。住民の移住により、農業に影響をあたえただけではなく、ダーウィヤの農村部に建設予定だった学校も付近の住民がほとんどいなくなってしまったため中止の危機にさらされている。その他の保健センターや道路工事など、この集落付近のプロジェクトも中止になりかねないということだ。ダーウィヤの区長によると水不足は降水量の減少と不公平な水資源の分配に起因すると話している。

・イラク京都議定書加盟へ 環境汚染対策のための国際的援助獲得保健省Drフセイン・カマールが今年南アフリカで開催されたCOP17にイラク代表として参加し京都議定書に批准。環境汚染対策のための国際的支援を向こう3年間に渡り受けられることになった。今回結ばれた合意は主に先進国から発展途上国に付与されるものであり、資金援助に加え、必要な技術協力も行われることになる。次回の会合はカタールで開催予定であり、イラクはそこで自国の環境問題についても議論する予定である。イラクは温暖化と干ばつなどにより年間10万dnm(1dnm=2500平米)に及ぶ地域が塩害に見舞われ、さらに2008年2009年に特に頻発した砂嵐も干ばつの大きな原因として憂慮されている。京都議定書への批准は今後もこれまで立ち遅れていた環境問題に本気で取り組むための第一歩となるか。

翻訳:加藤丈典

イラクの子どもが描いた絵画を貸出

絵画展を開きませんか?
JIM-NETではイラクの子どもたちが描いた絵のパネルを貸し出しています

サイト内検索

Google


サイト内 Web を検索

ソーシャルネットのコミュニティサイト